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どこまでいっても、兄は僕とはちがう。
間違いないだろう。
兄と彼女は契っていない。
ため息が出る。
それは、僕にとって幸なのか不幸なのか。
決めてしまっては後戻りできないだろう。
だから僕はいつもの風をよそおって、いつもの義弟の顔をして、義姉の名を呼ぶ。
僕よりいくつばかりか年若い彼女に微笑みかける。
すみません、つい。
もう、と言って彼女は僕のそばを離れ、火照った頬を冷やすように雪を仰いだ。
彼女の薄紅色の頬は、白い庭にぽつんと咲いた梅の花のようだった。
沫雪のこのころ継ぎてかく降らば
梅の初花散らか過ぎなむ
彼女は振り返り、首をかしげる。
何かおっしゃった?
いいえ、何もと僕は答える。
おかしな人、と彼女は淡く微笑む。
あなたは美しい梅の花です。
僕のつぶやきは彼女の耳には届かない。
そのまえに雪と一緒に落ちてしまう。
それくらいがちょうどいい。
そう思って、僕も彼女と同じ雪を仰いだ。
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