秘されたもの

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助けに行かんとな。お前はどうする。この田舎の島でけったくそ悪い神を気取るなら止めはせん。どうする。三位一体ということはお前は漂着神だ。体が不十分として兄妹神に見捨てられ、生まれた子としてカウントすらされなかった生き物の末裔だ。どうする」 「そんなのは決まっている!志保を守る!志保は俺の女だ!」 「不倫してただろう。だってマグダラだし」 「知ったことかあああああ!こんな村捨ててやる!誰一人として生かして返さん!勘解由小路!あれをよこせ!」 「あれだぞ。ハサミムシ、カマドウマ、タニシの力が結集したハ、カ、タ。ハカタのあれだ」 「知るかあああああ!おい!俺の曽祖父を殺し、遺物を奪ったな?!殺人と窃盗の容疑でこれを喰らえ!」 勘解由小路から取り上げた塩を勢いよく投げつけた。道隆は、悲鳴を上げたがやがて溶けていった。頭蓋骨と背骨が残った。 「改めて勘解由小路降魔に依頼する!お前の好きなようにしろ!」 「ここはあの山田儀右衛門すら近寄ろうとはしなかった。お前も覚えているだろう。ビルで捕まえた山田の先祖だ」 「ああ。大量殺人をしていて諫早君の邪眼にやられた奴だな。そう言えば奴は何をした?」 「吸血鬼ハンターだ。ろくすっぽいない吸血鬼を探して資産家家族を殺して金を奪っていた。残念ながら匂いでどこまでも追跡する犬勇者がいない。ここは風光明媚な田舎だ。ろくに排ガスもないのにな。どっちにしろ奴は異世界だ。島原、考えてみろ。奴等はどこにいると思う?指輪の魔力をたどってもいいが、知ってる奴に聞くのが早い」 「そうだな。ああ、思い出した。子供の頃、他の子供達含めて村民が消えていた。どこかで集まっていると考えて、こっそりあとを尾けた。海沿いの岸壁に洞穴があった。薄暗い洞穴に響く奴等のオラショが何とも気味悪く響いていて、怖気ついて逃げた。後日行ってみたが何もなかった」 「漂着した場所だな。漂着神が今も巣食っている。人になれなかった不定形の生き物はそこにいる。じゃあ行こうか。一方的な斬獲を見せてやろう」 勘解由小路の背後に、リムジンが横付けされた。
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