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一方的な斬獲
「漂着神だ。正確にはそれを見つけた村人がいたんだろう。海から来るものに対する恐怖心は昔からあった。その洞窟の奥にいたものと村人は融合した。その血脈は代々続いていたが、何かしらのイレギュラーが起きて、塩が効かないお前が生まれた。村人は救世主を待っていた。お前は排斥されてもいないし孤立もしていない。ただ、理解出来ない理屈で崇められていただけだった」
海にホースを放り込みながら勘解由小路は言った。
放水機のノズルの作動を確認しながら島原が言った。
「彼等のいうさんと様とは何だ?彼等が崇めるものとは一体」
「さんと様は聖霊だ。即三位一体でお前のことなんだろうさ。葦舟に載せられて流されたのは一つしかないだろう。離散集合し変容したものを崇めるのが隠れキリシタンだ。奴等は出会った。邪悪な秘神を崇め奉る村だ。まともではない。いくら教義がかち合っていてもそもそも相手は造物主ではない。得体のしれないものを信じてるのがお前等だろう」
「あまりに失礼じゃないか。本当の隠れキリシタンに対する侮辱ととられるぞ」
「だから隠れたんだろうが。ヒルコなんかを拝む奴等を殲滅する。準備はいいか?」
「ああ。もう迷いはない。行くぞ勘解由小路」
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