ニ十三日後

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「ところでまぎらわし」 「まぎわらしだ」 「ホント紛らわしい名前だな。お前、いつからこうやって暇人の相手してるんだ?」 「おっちゃんの生まれるずっとずっと前からだ」 「だとすると変だな。お前みたいなのがあちこちに現れれば噂が広まり、今頃お前はちょっとした有名人になってるハズだが新聞じゃ全くお前の名前は見ないぞ」 「ああ、オイラと関わった人間はオイラと別れるとオイラのことを忘れちまうんだ。朝起きて何の夢を見ていたのか覚えてないのとおんなじようにな」 「だが俺は別れた後もお前の記憶があるぞ?」 「そりゃこんだけ頻繁に会ってれば記憶も定着しちまうよ。おっちゃんだって最初はオイラのこと忘れてたろ?」 「確かに、な」 「普通はせいぜい10分か長くて30分しか相手はしねえ。だからオイラのことはすぐに忘れる。おっちゃんみたいに延長しまくってる人間は初めてだ。もうすっかりお得意様だな」 「別に頼んでデリバリーしてもらってるわけじゃないんだがな」
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