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「出席を取ります…………犬さん豚さん羊さんおっちゃんゾウさん!」
「ワンワンブーブーメェーメェーハーイパオーン! 出席を取る…………馬さん牛さんまぎわらし猿さん狐さん!」
「ヒヒーンモーモーハーイウキャウキャコンコン!」
「チッ……やるな」
「へへ、おっちゃんこそ。次は6連続だ。出席を取ります…………猿さん猫さんゾウさん牛さん鶏さんおっちゃん!」
「ウキャウキャニャーニャーパオーンモーモーコケコッ……ぐう!? 指、つった……!」
「やった! オイラの勝ちだーっ!」
「…………ッ……ル」
「ん? どうしたおっちゃん」
おっちゃんは何も言わなくなった。ただつった指をじっと見ている。指は小刻みに震えていた。
「そ、そんなに痛かったのか? 痛いの痛いの飛んでけしてやろうか?」
おっちゃんの顔つきがみるみる変わっていく。
あの時見た、何かに怯えた顔だ。
「……もう、とうに覚悟はできていたハズなんだがな。きっとお前と過ごすこの日々を、失いたくないのかもしれん。過去に散々失わせてきたってのに、図々しいな、俺は」
「おっちゃん……」
よくわからねぇが、きっとおっちゃんにも本当に待っているものがあって、それがやって来たらさよならしなくちゃならねぇんだ。
そしたらいずれオイラのことも忘れちまう。オイラと遊んだことも、話したことも、思い出も、全部……。
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