おっちゃん

3/4
前へ
/32ページ
次へ
「おおおおま、お前っ!? どこから!? どうやって!?」 「まあ落ち着け。オイラは“まぎわらし”。一応妖怪だ」 「よ、妖怪、だと? “座敷わらし”みたいなもんか?」 「ああ、確かにオイラの仲間に座敷わらしってのがいるが、アイツは民家に住み着いて、オイラは退屈している人間に取り憑くんだ」  退屈してる人間って、俺か? 俺、妖怪に取り憑かれたのか? てか座敷わらしも実在するのかよ。 「オイラの役目は退屈してて時間をもて余している人間の相手をして気をまぎらわしてやることさ。別に悪さはしないから安心しろ」  俺には普通の坊主頭のガキにしか見えないが、本当に妖怪なのか?  この部屋は四六時中カメラで監視されている。こいつがいるのが分かればすぐに人が飛んでくる。なのに誰も来ない。ってことは俺にしか見えてないのか?  ま、今更妖怪だの幽霊だの化け物だの出て来たところで驚くことはないか。俺はそれよりもっとずっと恐ろしい人間なんだ。
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加