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『お父さん、今日はね…私の大切な人も来てくれたのよ…
分かる?』
美咲の横には、優しそうな男性が。
もう声も出せない僕はゆっくり瞬きで答えた。
『お父さん、私は大丈夫。
だってお父さんとお母さんの娘だもの。
だから……』
『お母さんのところに……いってもいいよ……
お父さん………大好き…………』
美咲のあたたかい涙が、手に感じた。
『やっぱり美咲は私似だね。素直でかわいい。』
『いや、僕似だよ。
美咲はいきなりビンタとかしないし。』
『もう!昔の事をいつまでも!』
『じゃあ、そろそろ行こうか?』
『そうだね。お待たせ、美琴。』
美琴の手を取った。
『ねぇ、太一。』
『なに?』
『待つのって、案外幸せなのね。
太一もそうだった?』
『そうだね…』
僕の人生の幸せは
君との待ち合わせだった。
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