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自室のベッドでゴロゴロと寝返りを打ちながら、電車の中で調べた葵さんの事件を思い返す。
確かに葵くんと葵さんの子どもとの共通項はある。
けれど、葵くんにはきちんと両親がいるのだ。だから葵さんが母親な訳がない。
それに名前だって、ここ日本では親と同じ名前は子どもに付けられないようだ。だから、葵さんが母親な訳がない。
顔が似ているのも僕の勘違い。美人で黒髪の人は皆あんな風な神々しいまでの美貌を持つものなんだよ。
そして『宮雨葵』という名前の人物は箱に縁のある生き方をする運命なんだ。だから葵さんと葵くんは全く無関係。
だから、全部僕の考えすぎ。葵くんが『消えた子ども』なんじゃないかって疑っちゃうのは。
葵くんが僕を箱に詰めることに理由が欲しかったから、たまたま知った全く無関係の事件を結びつけちゃっただけ。―――そう言い聞かせて、この事件を思い起こすのをやめようと考えるのに、頭は勝手に思考を紡いでいく。
この事件には葵さんの自作自演だという説もある。
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