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 僕は今、半透明なプラスチック製の大きい収納ケースの中に丸まって、文字通り『収納』されている。  蓋は開いたままで、葵くんがケースの(ふち)に肘を置いて頬杖を突きながら、オニキスの美しい瞳で箱の中にいる僕を覗き込んでいた。  ここは葵くんの家のリビング。  整然と高価なインテリアが配置され、塵一つ無いくらい綺麗に掃除の行き届いた部屋では、何だか安物のプラスチック製のケースは浮いている。中に僕が入っているのも異様さに拍車を掛けていた。  だけどそこにポンと葵くんが居るだけで途端に不自然さが無くなるのだから、馬鹿な感想だけどイケメンってすごいと思う。  狭い箱の中、折り畳んだ体はまだ違和感がある程度だけど、時間が経つにつれて痛みを伴うことを何度も経験してきたから嫌と言うほど知っている。  それでもこうして大人しく『収納』されるのは、これが最愛の恋人、葵くんの望みだからに他ならない。  「かえで、すっごく可愛いよ」  葵くんはケースの中の僕を見詰めながら、恍惚とした表情を浮かべる。  何だかエッチな顔……僕とセックスしたときよりも興奮してるみたいで複雑だ。     
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