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 僕が不満に思っていることには気付いてないはずだけど、まるで機嫌を取るみたいに葵くんは僕の頬を撫でた。  「僕だけのかえで。ずっとここに居て欲しいな……」  頬を撫でていた指をつうーっと下に移動させて、葵くんは今度は犬にするように僕の顎下をさわさわと指で擦る。  「ひえ!や、やめて。葵くん!擽ったい」  葵くんの手を払い除けるなんて選択肢は無いから、代わりに抗議をする。  でも葵くんは止めるどころかより明確な意思を持って、こちょこちょをしかけてきた。  箱の中で身動きが取れないから、身を捩って逃げることも出来ず、笑い声を上げる。  葵くんは小学生が理科の実験を見守るみたいな好奇心に溢れた目で楽しそうに僕を観察していたけれど、やがてへにょんと秀麗な顔を笑み崩した。  「可愛い……」  そしてこちょこちょを止めたかと思うと、葵くんは突然キスをしてくる。  横を向いて丸まっている僕にとって上からの葵くんのキスを受け入れるのは体勢的にキツイ。  でも葵くんと舌を絡め合うキスは何よりも甘美で、自分の体のことも考えず、もっともっとと自然に求めてしまうのだ。  葵くんは箱の中に入れた僕を可愛がったり、鑑賞するのが好きみたいだ。     
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