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 何でかは知らない。聞いたことはあったけど毎回お茶を濁されてしまうから、もう何も聞かないことにした。  袋でラッピングされたプレゼントよりも箱に包装されたプレゼントの方が魅力的でしょう?なんて言われても余り腑に落ちない。  僕がそういう『わびさび』的な趣向を理解できない程感受性が低いだけかもしれないけれど。  だから僕としてはアルファの独占欲みたいな物の発露かなと結論を出している。  箱に僕を閉じ込めた時、葵くんはいつもすごく幸せそうだ。僕も葵くんが幸せならちょっと体がバキバキになったり、手足が痺れることくらい我慢できる。  それに、この葵くんの性癖を拒んだら捨てられてしまうかもしれないという恐怖もちょっぴりあった。だって葵くんは僕には勿体ないほど素晴らしい人で、僕を選んでくれたのは、きっと結ばれる筈のなかった赤い糸を神様が気紛れでくっつけてくれたからだ。  葵くんと付き合ってから僕の世界は葵くんを中心に回っている。僕の人生の基軸である葵くんが居なくなってしまったら、僕の行き着く先は破滅以外あり得ない。  「……かえで。何考えてるの?」  葵くんがキスを止めて、問い掛けてきた。  その瞳にはいつもの穏やかさはなく、嫉妬の色がちろりと燻っている。     
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