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箱
僕、最上かえでは男性オメガの十七歳。何処にでも転がっているような平均的な男子高校生。
オメガということ以外、これと言って特徴も取り柄のない平凡な僕だけれど、一つだけ特別に自慢できることがある。
それはイケメンで頭もよく、加えて優しくて、僕をすごく愛してくれるアルファの宮雨葵くんが彼氏だということだ。
一言で表すならスパダリってやつ。
葵くんと僕は通っている高校も違うし、もっと言うなら一般家庭出身の僕とお金持ちの葵くんでは住む世界すら違う。葵くんは僕にとって殿上人だ。
でも、何の因果か僕と葵くんは出会い、付き合うことになった。
そして今では、大人になったら結婚しようと誓い合う程愛し合っている。
まるで夢みたいな話。
デートは専らお家デート。僕が葵くんの一人暮らしをしている部屋に行く。
勉強を教えて貰ったり、葵くんが作ってくれたご飯を食べたり、一つのベッドで一緒に眠ったり、どこかにお出かけをするより葵くんとの距離を近く感じられてすごく大好きだ。
この前は僕の発情期の時にセックスまでしてしまった。
葵くんは終始紳士的で、すごく床上手だった。
それでいて未経験だったらしく、「今度はもっと気持ち良くさせてあげるね」と言われれば、これからへの期待で体が疼いた。
そして実際に葵くんはセックスをする度、僕を着実に快楽の底無し沼へと引きずり込んでいる。
葵くんとの日々は僕の中で一番キラキラしていて、愛しいものだ。
でも一つだけ不満がある。
不満……というか何でだろうっていう疑問かもしれない。
それは葵くんの家に行くとお願いされるある行為のことだ。
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