あたりまえの朝

2/3
前へ
/3ページ
次へ
息子は大学に、娘は勤めに すでに出掛けたようだ。  ー 今日から通常通り行動、   でも二人とも早めに帰るから   3人で鍋でも食べよう❗    買い物は二人でしてくるね、   仕事がんばって ー メモがテーブルの上。 横に目玉焼き、コーヒーの用意。 「子供の世話に早速なってるよ」 リビングと続いた和室の 祭壇の君の写真に言う。 2週間前に君は呆気なく死んだ。 心臓の病気なんて なんの予兆もないこともあるらしい。 慌ただしく病院から葬儀場、 「人間の死なんてルール通りに  あっけなく流れ作業で  骨までいくんだね」 君は5年前の笑顔で頷いている。 遺影は家族旅行の・・・ 房総の菜の花畑で撮ったもの。 あの春の日の1枚が そこに飾られるなんて 誰が予想しただろう・・・。 25年前、君と結婚して、 娘と息子が出来て ちょっと広めの庭ある一戸建てを購入。 「通勤に時間がかかるのじゃない?  身体でも壊して  あなたに何かあったら・・・」 君は躊躇したけれど、 嬉々として家事に精を出してる君を見て 買って良かったと常日頃思ってた。
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加