0人が本棚に入れています
本棚に追加
それは、3歳の時だった。
家族と一緒に買い物に行って、駐車場の順番待ちだった。
笑い声が聞こえる中、突然おきた。
3歳の彼女の目の前に、逆さまに落ちて行くおねいさんを見た。
最初に目が合って、でも笑っていた。
3歳の彼女は、両親に言った。
『あの大きなビルの上から、おねいさんが落ちた。髪の長いおねいさんを助けて!』
両親も、兄弟も信じてなかった。
『あんな遠いビルから見えるはずないでしょ!馬鹿な事は言わないで…気味が悪い。』
買い物を終わり、家に着いた時に彼女は泣いた。
おねいさんを助けてあげられなかったと…
そして、次の日の新聞には、彼女が言ったビルから女性が飛び降り自殺した記事が載っていた。
両親は、問いただしたが…彼女は答えなかった。
それからずっと、彼女は何故かわからないだろうけど、
幽霊を見ても、驚く事はなかった。
彼女は神社で、白蛇や狐をよく見ていた。
お寺でも、不思議な事ばかりだった。
ある有名なのかはわからないが…
幽霊の足跡の屏風絵が公開される時に彼女は泣いた。
それもまた、住職が驚くほどに…
彼女の涙の色が血のように赤く流れていたからだ。
ティッシュで拭くが赤くはなかったが、彼女が泣き止むまで、赤い涙は止まらなかった。住職は聞いた。
『どうして泣いてるのか?』
彼女はこう答えた。『何故、ただ子供の寝顔を見たかっただけなのに、こんな風に足跡を残したからって、さらし者にするの? 可哀想だよ。』
それから見える霊を誰にも話さず大人になった。
今のなお、霊を見ても誰にも話してはいないが…
霊感が強くなってしまった彼女は、自分の宿命のままに
暮らしている。
そして時は流れた。
彼女は、両耳を失ったが、霊力で聞こえる波の音を言葉にして、仕事をしている。
電話占い師として!
彼女は傷ついても、涙を流す事はなくなった。
どんなに哀しくても、泣けない大人になった。
信じるかは、読んだあなた次第!
最初のコメントを投稿しよう!