施療院の聖女

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―くらげ― 彼等は、皆、患者で、人殺し。 だが、女は、そのような彼等を愛しく思い始めていた。 そして、いつからだろうか、治療する側である女の身体からは、触手のようなものが生えてきた。 それは、女と患者にしか見えないが、確かに存在する透明の触手。 その触手の一本一本が、患者たちの身体へと巻き付いた。 触手は、患者にとっての薬で、誰かにとっての「猛毒」だった。 それは、まるで「くらげ」のような関係。 くねくねとした触手をちぎれば、治療は終わるが、女占い師からは、こう言われ続けていた。
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