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先にお風呂に入らせてもらってベッドの上でゴロゴロしていたら、彼も寝室に入ってきた。 少し横にずれて携帯をサイドテーブルに伏せる。 ぎしりとベッドが鳴って、彼の手が私に伸びてくる。 「…今日は疲れたでしょ。もう、」 「リサ見てると、したくなる。」 すぐに彼の薄い唇が触れて、シャンプーの香りが鼻を掠める。 断れない私はいつも流されてしまう。 嫌じゃないし、むしろ漏れてしまう声が彼を好きだと言い表している。だけど、この行為を重ねるごとにとても虚しくなる。 私は、彼の何なんだろう。都合のいい女になりたくなくて、ゴムをつける彼の手を止めた。 「つけないで。」 「リサ…だめだよ…」 「どうして?赤ちゃんできたら困る?」 「だって、俺達、」 結婚、してないもんね。そう言うと、彼の視線が下がった。 私の一言でムードは台無し。気まずくて、自分で言ったくせに嫌われたくなくて、でもどうしようもなくて涙が溢れる。 「リサ、」 「ごめん。何でもない。」 「…もう少しだけ、待って欲しい。」 「たくさん待ったよ。…結婚する気無いならそう言って。もう待つのは嫌なの。」     
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