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初めて言えた、私の本音。
少しスッキリした後すぐに、ああ、終わったなと、また涙がこぼれ落ちた。
彼に背を向けて止まらない涙を拭う。
「リサ、こっち向いて。」
「やだ。」
「リサ、」
無理やり肩を掴まれて、私を見下ろす彼と目が合う。でも気まずくてすぐに視線を逸らした。
「不安にさせてたなら、ごめん。」
「謝らないで。もっと惨めになる。」
可愛くないな、本当。それでも彼は優しく髪を撫でてくれる。
「……実は、転勤になるかもしれなくて。」
「転勤?」
「うん…」
「遠くなの?」
「…ベトナム。」
どこか国内の地方かと思っていたら、海外。
話についていけなくて、ただ彼を見つめる。
「前から話は上がってたんだけど、なかなか言い出せなくて。来週の月曜に辞令が出る。だから、ちゃんと決まったら言おうと思ってた。」
どう話を続けていいか分からなくて、2人とも黙る。
ここで私に与えられた3択。
別れるか、遠距離になるか、ついていくか。
一つは早々に消え去った。
「リサは、どうしたい?」
「私は…」
2つの選択肢のうち、残ったのはただ一つ。
いや、最初から一つしかなかった。
「遠距離なんて、できない。」
「じゃあ、ついてきてくれる?」
「うん。」
「…ありがとう。待たせてごめん。結婚しよう。」
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