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けど夢とはいえ黒い人影が私の中で存在してる以上名前を付けてあげたほう親しみやすいと思った。それだけ私はこの黒い人影に興味を持っていた。その場で互いを抱きしめ合ったまま、私は時間も気にせず考えた。名に意味がなくてもいい、この黒い人影が気に入るような名を・・・
「よし決めた。」
私の頭に浮かんだ名前はあまりにも安易ではあるが、名は体を表すと言う中ではピッタリな名前だ。
「ねえねえ君名前はある?無いよね!?私考えたんだ、クロイ・・クロイなんてどう!?」
相手の事を何も考えずいろんな順序をすっ飛ばしながらも、抱き合っていたクロイの両腕だと思われる部位を私は両手でがっちり掴み、押し出しながらそう伝えた。・・・ちなみに空間と思われるこの場所は自分の手足が見えないほど暗いが、しかしクロイは黒いというより人を黒いオーラで形作られてるように見える。なのでクロイが気に入ってくれたかなんて表情を見てもわかるわけもなく、私はクロイが声を出して返事をしてくれるんじゃないかと、ワクワクしながら、それしかないだろうと思い待っていた。しかしクロイは私が両手で掴んだままの両腕を私の両手事脇に引いていき、空手のような構えを取っていた。思わぬ行動に驚きを隠しきれず、私は憧れるような眼差しを向けながら(オオオオオオ!)などと言いかけそうになったその時、
ーーードンッ (突き飛ばす、クロイ)
「何でーーー!?」 (突き飛ばされた、恵)
・・・気に入らなかったらしい・・
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