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穏やかな日差しとは不釣り合いな程、熊が暴れ出す危険な状況に、私は意を決する事にした。
恵「天童さん、車から変な音がするよ。」
頼りない天童さんから、ライフル銃を奪うために、天童さんを油断させるため、私は危険だと言わんばかりに、張り詰めた表情で、特殊車両に指をさした。
私と霊ちゃんの間にいた天童さんは、不意を突かれたような驚きっぷりで後ろにある特殊車両に振り向き、同時に私の意図を察していた霊ちゃんは、素早く天童さんの背後を取り、片手で、今にも落としそうなライフル銃を、容易く奪い取った。
天童「・・・やられた。」
天童さんは、ポカンとした表情でライフル銃を奪われた直後、右手でライフル銃を担ぎ、特殊車両に設置されていた脚立をスムーズに登っていく霊ちゃんに、天童さんは脱帽した表情でそう答えた。なぜなら天童さんだけでなく、過市に住んでいる人々は、霊ちゃんがサバゲー全国チャンピオンである事を知っていたからだ。
恵「まあ、あれだよ、・・・人の命、かかってるしさ。」
天童「どうせ俺なんて、ポンコツだしな・・・。」
仕事人のような表情で、風向きを調べながら、熊との距離を測ろうとしている霊ちゃんを、私は、気まずい表情で見上げたまま、目線だけを天童さんに向け、気遣うように言うと、天童さんは、消失したような声で答えていた。
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