第5話 戦闘開始!

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 窓を開けながら、顔に力がはいり細く開いた目で、木島君は必死に私の名前だけを呼び続けていた。木島くんの呼びかけにぼやけていた視界が晴れていき、40メートル離れた木島君に私は大丈夫と伝えるため、口を閉ざし少し笑うような表情で軽く頷いた。  木島君は、柔らかな表情で見つめ返し、私の意図が伝わったと思い、すぐに熊のいる位置で、救助活動が行われている天童さんの所に、走りながら駆けつけて行った。向かう途中、天童さんを合わせた4人が顔の血管が浮き出すほど全身に力を入れ、熊の下敷きになっている一人の警察官を救うべく、息を合わせながら押し出そうとしていた。 天童「お前、何しに来た!」 恵「私も手伝う、説教なら後で受けるから!」   あまり進展しない状況なのか、私は真剣な眼差しで天童さんの目を睨みつけながら伝えた。天童さんも私の目を真剣に見つめ返し、瞬時に天童さんは、頼むと促すよう、複雑な表情で首を熊の方に振り、私の申し出を受けてくれた。    直後、熊に向け、力いっぱい寝息を立てる熊を押す私を、隣で驚きの表情で見ていた警察官達の士気も上がり、天童さんのかけ声で押し出そうとする私たちの力は寝息をたてる熊を、徐々に押し出すほどの物だった。  私が加わり、30秒程で下敷きになっていた警察官の体が、半分ほど見えてきたが、熊が倒れてから4分が経過していた。
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