題7話 凶意の魔の手!

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題7話 凶意の魔の手!

木島「とにかく、これはダメだ!」 グシャ、グシャ(用紙を握る音) 恵「あっ、何してんのっ!」  呆れた口調で躊躇いもなく、用紙を圧縮させるように握り潰す木島君。私は、慌てて、ピンポン玉並みになってしまった用しを、掴もうと片腕を伸ばす。  ヒュッ(用紙を投げる)、ポトン(ゴミ箱に入る) ・・・数秒の沈黙が経つ。 恵「このっっ!」 ビリリリッ、ビリッビリッ。 (用紙を破く音) 木島「おいっ、俺はそこまでやってねえだろ!!」  今朝からのストレスが溜まっていたせいか、木島君の用紙を、見るも無残な細切れに破いた。第三者でいる霊ちゃんは、顔を机に伏せながらも、再び、お腹を抱えて笑い出す。    木島「あっ、それ白紙のやつだは。」  既に書き終えた反省文の上に、白紙の用紙をかぶせていた。まるで私の行動を予知していたと言わんばかりに、木島君はニヤついた笑みで、書き終えた反省文を、私の目の前で、波のように揺らしながら見せつけてくる。  私は、(くうっ)と声を漏らし、恥ずかしさの余り赤面し、木島君から避けるように、下唇を噛みしめながら、ゴミ箱へ歩き出した。ガララララッ(教室のドア)  私が、ゴミ箱の前に着くと同時に、白衣のコートを、スーツの上に重ね着した、長髪の中年の男性が入ってきた。  向かってくる足音に気付けない程、騒いでいた私たちは、驚きの余り、一瞬電気が走ったかのように、ビクリと反応した。・・・のはずが、霊ちゃんだけが、未だに、顔を机に伏せ、小刻みに震えながら笑い続けていた。    
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