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初めまして、大好きです!
あの時もついこんな事を口走り、もの凄く慌てていた。
だがこんな彼の小さなドジは、真友子には、むしろ好感が持てる間違い。
だから、それは素直な彼女の言葉になった。
「でも、なんだか和む間違いですね」
同じように箸先にサトイモをつまんで真友子が微笑むと、向かいの笠原は
「そうですかぁ?」と少し照れ笑い。
そして、こんな事で和んでもらえるなら、逸話は山のようにあると加えて
きた。
「例えば、話の経緯はもう忘れましたが、小学生の理科の授業で先生から
『蚊取り線香は何からできているか』っていう質問が出されたんですよ。
それでまぁ、運悪く僕が指名されましてね」
しかし彼は、何かの「菊」だったということは記憶していたが、
除虫菊とまでは記憶していなかったらしい。
「でも何か言わないとって焦ったもので、つい『春菊』って、浮かんできた
まんまに答えちゃったんですよ。ほら、春菊って独特の香りがするでしょ。
でもそしたら、教室が一瞬ドン引きした後に爆笑の渦になっちゃって……」
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