11 まさかの先は猿

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「立てこもりですって」 えっ?  思わず大祐と真友子の声が重なり、二人の足もピタリと止まった。 そんな彼らの反応に、見知らぬ女性は、物見高く少し目を輝かせる。 「何をしでかした人か知らないけど、そこの向こうにある家で親子を人質に してるんですってよ」 ええっ、マジっすか?!  ギョッと聞き返す大祐に、女性は、どこかドヤ顔で頷く。 その女性に、真友子の低い声が尋ねた。 「あの、いつからこんな事に?」 「つい十分くらい前からよ」 しかし事態は、とても井戸端話レベルではないのだろう。 現に、こうして短く話をしている間にも続々と報道関係者が到着し、上空には数台のヘリコプターまでが集まってくる。 そして物々しさが増す中、大祐は、そっと隣の真友子に呼ばれた。 「ねぇ、一旦ウチに来ない?」
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