8 大展開(つづき)

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なんなの、これぇ!  クスクスと笑いながら、思わず真友子は胸の内で小さく叫んだ。 やっぱり彼って、癒し系だわ。ホントに、すごく和む。 実際、電話を通した会話だけだった頃は、なんとなく彼の声が耳に心地良いに過ぎなかった。 しかし当人ときちんと出会って以降は、偶然がもたらしたタイミングとは いえ、何かと彼に心が救われたのも事実。 だから今までは、漠然と彼の「癒し系」というキャラクターが真友子の 気持ちを救ってくれたのかと思っていた。 それが今、目の前でちょっととぼけたボケ方をして、少し照れ臭そうに 自分のエピソードを口にする彼の存在そのものが、この一年に有った辛い事も苦い思いも何もかもを忘れて、和ませてくれるように感じる。 だからだろう、またしてもそれは素直に真友子の言葉になった。 「笠原さんって、不思議な方ですよね」 「えっ? 不思議、ですか?」 だが、もちろん目の前の笠原はキョトンとする。 そしてその姿がまたなんとも無邪気で、更に真友子を素直にさせ、 「実は……」と数か月前にクリーニング店の前で見かけた話を口にした。
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