9 大混乱の末路

5/11
前へ
/36ページ
次へ
だが、間違い電話を含めて何度かのやり取りは有れども、彼女とは まだ二回ほど食事をしたに過ぎない。 そんなよく知りもしない自分に、彼女が惚れるなどということがあるの だろうか? だけど、現に僕は彼女に惚れちゃったんだから有り得なくはないのか、な……。 そして、どうにも自分の思考が空回りばかりして、どんな返事をすればいいのか分からなくなる。 だから結局、彼が真友子に返事を出したのは帰宅の電車の中から。 『返事が遅くなって、ごめん。実は、今日まで仕事だったんだ。 それから、こちらこそ昨日はありがとう。僕も、すごく楽しかった。 それで質問の答えだけど、まぁゆの思った通りで間違いじゃありません。』 そこまで打ち込んだ大祐は、続きをどうしようかとちょっと指を止めた。 しかし続ける言葉も浮かばず、かといってその先に聞きたい肝心な事も 書けないまま、送信ボタンをそっとタップする。
/36ページ

最初のコメントを投稿しよう!

42人が本棚に入れています
本棚に追加