10 見付け物

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10 見付け物

今更、自分が恋をする? 恋愛や結婚を切り離した大人が、無自覚に恋に落ちると、こんな風に迷子に なるものかもしれない。 しかも厄介な事に、今まで存在を捨て去っていた感情なだけに、「まさか」という戸惑いは「そんなバカな」という否定を呼び、その後に「だけど」という不安になって迷路に突き落とされる。 そしてそれは、真友子自身も例外ではなかった。 実際、大祐との忘年会から帰宅した後、少し冷静になったところで真友子は ハタと考えてしまった。 もしかして自分は、気付かぬ内に彼に恋してしまったのだろうかと――。 しかし、大人という自分の思考は、あっさりそれを否定する。 確かに彼は、自分の気持ちを何かと和ませてくれるキャラではあるが、 それを恋愛感情と呼ぶのは早計だろう。 第一、ピークは乗り越えたといえども、少なからず彼に和ませてもらったのは今度の失敗で落ち込み真っ只中だった頃。 そんな「吊り橋効果」に騙されるほど、もう青くもないではないか。
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