第2章 手を伸ばせば。

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その日は、あいつの事で頭がいっぱいで 凪が何か話しても、全然入ってこない。 一緒に 前話してたカフェバーで食事をしても、自分が何をオーダーしたか忘れる始末。 「先生?今日…どうしたんですか?」 「別に…なんでもない。」 その時、凪のスマホが鳴った。 「もしもし 吉村さん? どうしましたか?はい、はい、いえ、まだなんです。そしたら …今 外なんで、夜もう一回かけてもらうって事もできますか?はい、すいません!よろしくお願いします。」 「すいません。」 「もういいの? 吉村さん?」 「図書館のレイアウトについて、2人で考え中なんです。夏だし 妖怪とか、おばけ屋敷っぽい展示とか…。」 「2人でおばけ屋敷行ったり?この前も絵本美術館行ったし。」 「え? なんで?とりあえず、そんな予定はないですけど。」 何か…俺…止まんない。 「今日、この後ウチに来ない?」 いつもだったら、この時間にウチに誘ったりしない。 「えっと…今日は帰ります。吉村さんから電話くるまでに資料読んでおきたいんで。ごめんなさい。誘ってくれたのに」 「いや、大丈夫。急にごめん。」 「先生…?怒ってる?」 「別に 怒ってないよ。じゃ、帰ろうか。」 「はい…。先生…断って ごめんなさい。」 「本当、怒ってないよ」 帰って 吉村からの電話を待つ 凪が どうしてもイヤで、手も繋がず、駅で別れた。 いつもなら、凪の最寄駅まで送るのに。それも無し。 凪は…全然気づいてないな。吉村の気持ちに。 でも…もし…告白されたら? 凪は、どうするだろうか? 吉村は…男の俺からみても いい男だ。 いい男だ…よね。歳も 同じぐらい。 気も合うみたいだし…。 最近…凪に影響を与えて、世界を広げて…って 吉村だったんだな…。 凪は、あいつといて、バイトしたり 本すすめられたり、楽しいんだろうか…。 なんだか…な…。 …。 なんなんだ!俺は!? 今日は なんだか、自分で自分がどうにもならない…。
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