第7章優しく口付けて

34/41
前へ
/341ページ
次へ
夕食は予告通り串揚げ。 弓原さんの職場の近くのお店だった。 コインパーキングに車を止めて 店に行くと すでにいい匂いが充満してる。 何だか、お腹空いてきたかも。 「とりあえず、俺は生中。」 「凪は?カルピスサワー?」 「ん〜迷う…えっと…ハスカップサワー!北海道だからっ!」 先生が注文した飲み物と 食べ物は あっと言う間に到着して  「かんぱーい!」 入店から15分で乾杯! 「先生…功輔さんは、飲み物何にしたの?」 「ハスカップソーダ。俺、結構この味好きかも」 「運転だから飲めないけど、その分食べろ。串揚げの盛り合わせ とかハズレ無しでウマイからさ。」 「うん。」 「凪ちゃんも、ドンドン食べなよ」 「はい。」 弓原さんが お皿にバジルチキンフライを入れてくれた。 「それはそうと、お前もうすぐ海外に行くんじゃなかったっけ? どこだっけ?」 「当初はザンビアの予定だったんだけど、オーストラリアに変更になってさ。」 「へ〜」 「前にオーストラリアで森林火災があっただろ? その影響を調べたり、野生動物の調査とか…」 知ってる…火傷したコアラとかテレビでやってたもんね。 「そうか…長いのか?」 「うん…もしかしたら、これからは向こうで働くのがメインになるかも」 「えーっ?」 そんな…。 「凪ちゃん、そんな顔しないで。時々は帰ってくるし。実家は日本なんだし。」 「…そっか。永遠のお別れってわけじゃないもんね」 「そうそう。2人が結婚したら、新婚旅行でおいでよ」 私達の新婚旅行…。 ほっぺたが急に熱くなって、首をブンブン振った。 これ、絶対ハスカップサワーのせいじゃない! 功輔さん…どんな顔してるんだろって思って 隣をチラ見すると 全然 普通。 全然普通で 「いいかも。オーストラリア行った事ないし。また面白いとこと美味しいとこ見つけとけよ。」 なんて言ってる。 当たり前の未来に、私との結婚があるんだ…。 そう思ったら、嬉しくて 顔が緩んで ニヤけて 思わず下を向いた。
/341ページ

最初のコメントを投稿しよう!

121人が本棚に入れています
本棚に追加