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「おい、コウスケ!」
「え?」
串揚げ屋での夕食兼飲み会は とっても盛り上がり 腹も膨れて そろそろお開きも近い…なんて考えながら 弓原と喋っていると 小声で呼ばれて 目配せされた。
ふと凪をみると コックリ…コックリ 舟を漕いでいる。
さっきまで、喋ってたのに…いつの間に。
「そろそろ帰るか。」
「うん。」
「…凪、起きて。」
軽く揺するが なかなか起きない。
「何か、笑ってるね」
弓原が言う通り 時々フニャリと笑っては、コックリ…コックリ…。
「凪! 帰るよ!」
「…ん? あっ…先生…?」
「凪ちゃん、そろそろ帰るってよ」
「え…?あ…すいません!私 いつのまにか寝ちゃってっ!」
「大丈夫?」
「はい。」
「酔っぱらった?」
「大丈夫です。」
店を出ると ヒンヤリ涼しい。
「じゃ、明日は見送れないけど 気をつけて帰れよ。」
「あぁ。色々ありがとな。って送るよ!」
「いいよ。俺んちんここから10分もかかんないから。」
「そうなのか。」
軽く手を上げて歩き出した弓原を見送ると、隣の凪が声をあげた。
「あの!弓原さん! 今日は1日どうもありがとうございました!」
「凪ちゃん、楽しかった?」
振り返った弓原は、上機嫌。
「はい! もんのすごく楽しかったし、美味しかったです!」
「それは良かった。」
「弓原さん、オーストラリア 気をつけて!」
「ありがとう!じゃあね〜」
俺は遠ざかる弓原を見ながら、隣に立つ恋人に手を差し出した。
凪の手は ポカポカあったかい。
当たり前の事の様に 手を繋げる事が 幸せで ニヤけた顔を見られないように下を向いた。
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