第7章優しく口付けて

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「ホテル着くまで寝ててもいいよ」 車に乗ると功輔さんが ちょっと心配そうにコッチをみた。 酔っぱらいだと思われてる…。 「ううん。平気。」 「そう?」 「うん。なんで?」 「なんか、いつもと違って陽気な感じだから…酔っぱらっちゃったかなって思って。」 やっぱり。 「大丈夫。そんなにたくさん飲んでないし。ハスカップサワーと…柚子蜜サワーと…カシスオレンジだもん。」 「後、カルーアミルクも飲んでなかったっけ?」 「ちょっと飲んだけど、苦手で功輔さんにあげたから、ノーカウント」 「カルーアミルクダメなんだ?」 「うん…甘過ぎたっていうか…濁ったのより透き通ったサッパリ味が好きっていうか…」 「濁ったの…ま、確かに甘かったな」 「うんうん。」 「じゃあ、カルピスサワーはいいの?」 「カルピスサワーは 半透明だけど キュンとした酸味が美味しいから、いいの。初恋の味だし。」 「凪、古い事知ってるね。 さ、着いたよ。今日の宿。」 お喋りしてるうちに着いちゃった。 車から降りて思わず 上を見上げた。 昨日の宿とは うってかわって都会的なホテル。 「凪、行こうか。」 車のキーを預けた功輔さんが 振り返った。 「はい。」
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