第2章 手を伸ばせば。

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「吉村さんとお似合いって、何!? そんなの欲しくない!!私は…私は先生とお似合いになりたいっていつも思ってるのに!!! 手も…絶対に離さない!! 私が…おばあちゃんになって…先生が それよりもっとシワッシワのおじいさんになっちゃっても、ずっと手繋いでるって…決めてるのに!!! 先生は…先生は私が他の人と手、繋いでも…いいの?! 私は、先生が他の人と手を繋いだら…なんて嫌だよ!」 泣きながら怒って、怒りながら泣いてた。 あんまり気持ちが高ぶって、大泣きしたから 終いには ひゃっくりが止まらなくなった。 「凪…ぎゅっってしてもいい?」 ひゃっくりしながら、頷く。 先生は、そっと 腕を回すとヨシヨシと頭を撫でながら、反対の手で背中をポンポンとたたいた。 「凪は…ただニコニコ、フワフワしてり子じゃない事、すっかり忘れてた。大人になって、こんなに怒られた事ないかも。ゴメンね。凪の事傷つけて。 こんな俺でも良ければ、ずっと手を繋いでいて下さい。 俺は、凪とずっと一緒にいたいです。 ゴメンね。凪…もう泣かないで。」 先生が 優し過ぎて また涙とひゃっくりが出て なかなか止まらない。 「今日は凪の言うこと、何でも1つ聞くから。」 「…今日は…先生とずっと一緒にいたいです。」 「うん。」 「一緒にスーパーに買い物に行って…お好み焼きを作って2人で食べたい。」 「うん。」 「この前は先生に『えーっ?』って言われてやめたけど、チーズ入りのお好み焼きも作りたいです。」 凪…まだ諦めてなかったのか。 「ダメ?」 「ダメじゃない」 それから2人は近くのスーパーに買い物に行って、お好み焼きを作った。 「凪、俺が嫉妬してるって何でわかったの?」 「分からなくて、優香に電話で相談したの。そうしたら、先生がヤキモチ妬いてるって。今頃 自己嫌悪に陥ってるだろうって。」 …恐るべし内藤優香。 「でも私、ちょっと信じられなかった。先生がヤキモチ妬いてくれるなんて。嬉しかった。」 「ん?」 「いつも私の方が 先生の事 好きだと思ってたから。」 「そんな事ないよ」 「でも、先生、あんまり好き好きビーム出さないから…」
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