第2章 手を伸ばせば。

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「…好き好きビーム?」 「そう。あんまり出さないよね。」 「こんなに出してるのに?」 「…。」 「足りない?」 「…足りない。」 フライ返しを片手で持ったまま、反対の手で凪の肩を引き寄せて、キスした。 角度を変えて そっと触れるだけのキスを繰り返す。 不意に凪が少し下をむいた。 「好き好きビーム、満タンになりました」 顔を赤く染めて、恥ずかしそうにそう言うのが、たまらなく可愛くて、もう一度キスをして 凪の耳元に唇をよせて囁く。 「おまけ」 「…先生…何か ずるい…余裕で。」 余裕なんて、ない。 「凪、キスの息継ぎ出来るようになったんだ」 お好み焼きを食べながらするには、ちょっと深い話。 「練習したんです!」 凪がお好み焼きを取り分けながら、胸を張る。 「え?」 「マグカップで!」 「…?」 「夜、寝る前にミルクティ飲むんですけど、その時に 熱いから チョビチョビ飲むの。ちょっとキスに似てると思って。息継ぎ練習したんです。前に先生、宿題って言ってたから」 「何か…聞かなきゃ良かったかも」 「…?」 「恥ずかしくて、マグカップでコーヒー飲めなくなる」 「…?」 やっぱり 全然 余裕ない。
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