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私がベッドの中で、昨日の回想(妄想?)をしていると、下からお母さんの声が響いた。
「凪!早く起きな!今日、悠斗君の剣道の試合見にいくんでしょ?!」
「そうだった…。」
慌てて着替えると、バタバタと下に降りた。
「春休みになった途端に、グダグダだな…」
そう言ったのは、弟。イラッとしたけど、あっちが正しいので言い返せず…。
「悠斗、かなり最近 波に乗ってるから、いいとこまで行くんじゃないかな」
新聞を読んでいたお父さんが言った。悠斗は小さい頃からお父さんの教える剣道教室で剣道をやってきたので、悠斗を見る目は息子を見る目に近い。
「凪、今日 お友達が泊まりに来るって言ってけど、優香ちゃん?」
「そう、それと悠斗の彼女。」
「悠斗君、彼女いるんだ!」
「いる。高3の可愛い彼女。顔も性格も可愛い!剣道部の後輩で 。」
羨ましそうな顔をする弟にとどめを刺す
「しかも彼女から告白されて 付き合い始めた」
「すげー!」
「別に凄くないだろう。凪が高杉先生の彼女になるぐらいなんだから。お父さんは、昨日腰が抜けるほどビックリしたよ!そして、高杉先生は なんかの魔法にかかってるのかと思った。」
魔法…。
剣道七段の強面刑事にしては、メルヘンな父…。
「とにかく、魔法がとける前に 嫁にもらってもらった方がいいぞ」
「そうね!高杉先生と凪、10歳違うしね~」
「俺も その高杉先生に会ってみたい!」
「イケメンよ~爽やかで。動物に例えると…犬ね。ハスキーとかシェパードとか…」
「よく、姉ちゃんと付き合う事になったね」
「もう!いいの!」
なんだか 散々な言われようだけど、先生と付き合うのが公認になってよかったよ。
理事長先生、ありがと!!
一瀬家の和やかな朝を過ごして、優香と待ち合わせている駅に向かった。
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