第2章 手を伸ばせば。

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「やっぱり嫉妬だったか~。絶対そうだと思った!」 優香は、ロイヤルミルクティをガブッと勢いよく飲んで言った。 今日は優香の家で お泊り女子会。今回は瞳子ちゃんは不参加で、2人女子会。 「でも優香、よく分かったよね。先生も恐るべしって言ってたよ」 「分かるよ~。でも あの高杉先生に嫉妬させるなんて、凪 すごいよ。それだけ先生は凪の事大好きってことだね」 「…。」 「でも私、思うんだけど さ、凪と先生は 両思いって分かってから 付き合うまでに1年間あったでしょ? あの頃は 両思いって事でいいなって思ってたけど、不安になったりもしただろうし、すぐに付き合いたいって思っただろうし…。大変だっただろうなって。 あの時間が凪と先生の愛を育てたんだなって思うよ」 「私…先生と歳の差があって、いつも先生に相応しい彼女でありたい。釣り合うようになりたいって思ってたんだけど、今回の事で 先生も歳の差に不安になる事もあるって分かって、ちょっと安心した。」 「そっか…。」 「もう、先生と生徒じゃないしね。」 「でも、大人彼氏に イロイロ教えてもらうのも 憧れる!!」 「…なんだか、優香、エロい!」 2人で お喋りしたり、雑誌みたりしながら 女子会の夜は更けていった。 スマホのディスプレイに その名前を見た時には、驚いて 思わず二度見した。 一瀬 父 凪のお父さん。 凪を通して連絡先を交換したけど、本当にかかってくるなんて。 「もしもし、高杉です。」 「一瀬です。今、大丈夫ですか?」 「あ、大丈夫です。」 「ちょっと 先生にお話ししたい事が あるので、近々 飲みに行きませんか?」 「…今日は長引きそうな会議があるので、明日の夜は、いかがでしょうか?」 「私の方は、大丈夫。では…宮下駅北口の野花っていう店に7時で。」 「…あの…お話というのは…」 「ああ、あんまり緊張せずに。今回は凪の話ではないんです。お互いの仕事関係というか…とにかく明日お話ししますから。」 「分かりました。よろしくお願いします。」 「では、失礼します。」 なんだろうか…話って。 付き合いはじめの彼女の父親と 飲みに行く事になって、緊張しない方がおかしいよな。
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