第2章 手を伸ばせば。

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「こんばんは~」 指定された店に着くと、既に凪パパは到着していて カウンターで、ビールを飲んでいた。 「すいません!遅くなりまして!!」 「全然。私が早くきたもんだから。」 「お連れ様 みえました?じゃ、テーブルの方に ビール運んでおきましょうか。」 「うん。お願い。」 「こちら、新しい刑事さん?なんだか、爽やかなイケメンさんですね」 「いや、娘の彼氏なの。今日は初飲み会」 「まぁ、どうりで彼氏さんが、緊張してるわけですね」 凪パパと 馴染みらしい店の女将さんは、コロコロと笑って、ビールやお通しを運んできた。 席に着くと、お互いにビールを注ぎあって、ぎこちなく乾杯。 「先生、今日はおよび立てしてすいません。ビックリしたでしょう。彼女の父親から電話がかかってくるなんて。」 「正直、ビックリしました。今も実は緊張してます。」 「凪の話ではないんです。凪の方は、全然心配してない。先生と付き合う事になって、楽しそうで、幸せそうで。凪の事は先生にお任せしますので。今後とも よろしくお願いします。」 「あの…前からずっと伺いたいと思っていたのですが…」 「はい、なんでしょうか?」 「卒業式の日、私は 凪さんと お付き合いさせていただく事になって、高宮理事長が 一瀬さんに私を引き合わせてくださったわけですが、理事長の手前、 一瀬さんとしては『否』と言えなくなってしまったのではありませんか?」 「あの時は本当に驚きました。でも 先生の人柄は良いし、凪が幸せそうなので、先生と出会えて良かったなと思ってますよ。」 「9歳年上ってことについては、どうでしょうか」 「それは…ウチも10歳差なもんで。」 「…。」 「私が怪我をして入院した病院に、看護師になりたての家内がいまして…。一緒に長くいるうちに 歳の差なんて、本人達も周りも気にならなくなりますよ。結局は人と人だからさ。」 「はい。」 「じゃ、そろそろ本題に入ろうかな」 「すいません。 お願いします。」
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