第2章 手を伸ばせば。

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「先生、最近 学校で変わった事は、ありませんか?高宮学園。」 ビールを一口飲んで、一瀬さんが話し始めた。 「…特には…気になりませんが…」 「実は、後輩からちょっと気になる事を聞いたんです。 1週間ぐらい前に、その後輩の嫁がカラオケボックスで、高宮の制服を着た女の子と父親ぐらいの年回りの男性が一緒に出て来たと。 もちろん、家族なら問題ないんですが そんな雰囲気じゃなかったみたいで。」 え…!? 「援助交際…ですか…」 「まあ、その可能性もありますね。 高宮の制服かどうか、見間違いかも…とは言ってましたが、後輩の嫁っていうのは元刑事です。見間違いではない可能性の方が高いと私は思ってます。」 「ウチの生徒が、制服で援助交際…。」 「ビックリさせてしまいましたね。ただ、高宮の生徒とは限らない。制服をネットなどで買った…ということもあり得る。」 「…。」 「まあ、その場合は売った生徒がいるってことですがね。 高宮は制服が2着ありますよね? 因みにカラオケボックスの女の子が着ていたのは、正式な方というんですか ブラウスに大きなリボンがあって、スカートが白と黒っぽいチェックのだそうです。」 「始業式の日に、正式な方の制服を着る事になってますが、もちろん全員着てました…でも…。」 「そう。まだ、分からない。色々な可能性が考えられる。 ただ 気になる案件だ。 大ごとに、大きな犯罪に巻き込まれる可能性もある。最近はJKビジネスてかいうみたいですが、そんな軽い言い方をしたって やってる事は売春だ。 高宮の生徒にしたって、違う学校の生徒にしたって、そんな事やってたら さっ。」 「とりあえず、生徒指導の教員と話してみます。一瀬さんのお名前出しても?」 「もちろんです。ウチの少年係にも 話しておきますよ」 「ありがとうございます。よろしくお願いします。」 「あ、そうそう この事は高宮先生は知らないので、まだ理事長先生の耳に入れるには早いから」 「はい。」 ウチの学校に 援助交際をしている生徒がいるかもしれない…。そう考えるだけで、胃の辺りが重くなった。
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