第2章 手を伸ばせば。

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今日は、何となく 集中出来ない。 せっかくの休日で 凪は学校の課題、俺は仕事のお家デートだって言うのに。 学生の頃とか友達と一緒に勉強しても、あんまりはかどらなかったのを思い出すな…。 とは言っても もういい大人なんだし、いい加減にしないと。 …理由は分かっている。 「すいません。お時間いただいて。」 昨日、凪の父親から聞かされた話を報告するために生徒指導の関野先生と教頭に、声をかけた。 「…では高杉先生は、高宮の生徒が売春をしている可能性があると 思っているて言うことですか?」 「最悪の場合、そういう事です。ただ絶対ではありません。他の可能性もあるんです!」 「ちょっと信じられない話ですな…そこまで素行が悪い生徒がいるとは思えませんよ。現に その元刑事さんが見たと言う制服にしたって、始業式の日には全員が着ていたんですから。」 「…確かにそうなんですが、このまま 放って置くのも…」 「高杉先生、ではどうしたら良いとお考えですか?」 「…。」 「高杉先生…高宮理事長のお気に入りだか何だかんだ知りませんが、不確かな話で学園を混乱させるのは、どうかと思いますよ。 高杉先生と一瀬凪の交際にしたって、卒業後だからセーフという意見だけではないんですよ。 在学中から付き合っていたのではないかと言う声もある。 補習を隠れ蓑に数学準備室で如何わしい行為に及んでいたのではないか、と言う憶測も流れた。」 「教頭!!それこそ不確かな話ではないでしょうか!?私達は一瀬の在学中は、交際していませんし、如何わしい行為など、もちろんしていません。」 「もちろん、そう言うでしょうな…。生徒と交際してましたなどと、言うわけないですよね。 教頭は、不確かな情報に踊らさせるなと言っているんですよ。 とりあえず、援助交際の件は しばらく様子見ですね。また何かあったら、教えて下さい。 われわれも、何もしないって言うわけじゃないんで。」 「…。」 「分かりましたか?高杉先生。」 「…はい。」 会議室に入った時よりも、ずっと気が重くなった。
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