第2章 手を伸ばせば。

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「先生?」 「ん?」 「どうしたんですか?さっきから溜息ついて、お仕事進まないの?」 「…あんまり集中出来なくてさ」 「珍しいですね」 「…ちょっと元気が出ないので、好き好きビームの充電お願いしたいです。」 えーっ?! それは…つまり… つまり…私からキスしてって…そういう事?! 無理 無理 無理! 考えただけで 脳が 煮える。 先生は 顔を赤くして、動けなくなった私を見て、少し笑った。 「凪、少しだけ…ギュッとして」 もぞもぞと先生の方に近づき、そっと抱きしめた。 いつも ギュッてしてもらうばっかりだったな…。 なんだか…。 先生…好き…だな。 「先生…」耳元で囁く。 くっつけていた頭を離すと、先生の唇にキスした。 あたし…何やってんだろ!!? キス…した。 急に恥ずかしくてたまらなくなって、先生に抱きついた。 「凪…。」 「先生、私…ちょっと…どうかしてた!!忘れて!今の!!」 「忘れるわけないよ。絶対忘れない。っていうか、今も思い出してるし、また夜とか思い出す」 きゃー! 先生は、ジタバタしている私を抱きしめた。 「凪、また今度して」 「…でも どうしたらいいか分からないし…上手じゃない…キス…」 あまりにも恥ずかしくて、最後の方は 蚊の鳴くような声になった。 「上手くなくていい。むしろ 上手くない方がいいって感じ。」 ん? 先生の言うことは、時々分からない。 先生は、そんな私を見て 柔らかく笑うと「30分頂戴。それで仕事の方、片付けるから。終わったら、お使い行こうか」と言って、ものすごい勢いで仕事を始めた。
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