第2章 手を伸ばせば。

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空き時間の数学準備室。 小テストの採点終了。 凪とのおウチデートでリフレッシュしたとはいえ、凪パパからの問題は、全く手付かずなわけで なんだかスッキリしないな。 教頭は 乗り気じゃなかったけど、とりあえず保健室の東先生に 話しといた方が良さそうだな…。 もし、ウチの生徒が援助交際してたとなったら、東先生のサポート必要になるかも知れないし…。 東先生を訪ねて放課後の保健室へ。 前もって連絡してあったので「います!」の札がかかったドアを開けると、東先生が振り返った。 「お、タイミングいい!今 お茶沸かしたから、高杉先生も飲むでしょ?」 東先生は、確か俺より4歳年上の小柄な女性で、サバサバした性格が生徒たちに人気。 多分、生徒たちの情報も学校一詳しい。 「ありがとうございます。あの、ちょっと先生の耳に入れておきたい話がありまして…」 俺は、凪パパから聞いた話と、それについて学校としては 今のところ何の手も打てない事を話した。 「うーん、生徒たちの中に、援助交際の噂とかは 聞かないね~。 ちょっと前まで女子バスケ部と女子バレー部で 揉めたりは、してたけどね。まぁ、そんなもので。警察沙汰になるような問題はなさそうかな…。 でもウチの生徒じゃないにしても、確かに気になる。ウチの制服をどうやって手にいれたんだろう。」 「やっぱり、ウチの制服ですかね?」 「結構目立つし、可愛いから受験生にも人気だし。似たデザインの学校はないし。見間違えって事は、なさそうね」 「…。」 「とりあえず、私の方でも気をつけておくね。高杉先生の方でも新しいことがわかったら、教えて!」 「はい。」 「ところで…。」と 東先生は言葉を切って、お茶を飲んだ。 「年下の彼女は、どう?一瀬さん、元気?」 「…。」 「なんか言われた?」 「…。」 「言いたい奴には言わせとけばいいのよ。大概もてない男の僻み!」 「…。」 「でも、大変だったわよね。付き合うの1年間待ったんでしょう。」 「詳しいですね。」
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