第3章 伸ばした手が 触れ合った時

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援助交際問題には、良くも悪くも進展がないが そればっかりが仕事ではなく…今度の入試係に選ばれた。選ばれてしまった…。まぁ そろそろ回ってくるかな…とは思ってたけど。 高宮学園では、毎年3人の教師が入試係として中心になり 入学試験を取り仕切る。 募集要項の準備や、出願、中学校対象の説明会、入試当日の色々な事を取り仕切る。 もちろん、それぞれの作業は職員全体であたるが、係になった3人は 、毎年目が回るような忙しさになるのだ。 今回の係は、俺のほか 生物の平山先生とベテランの国語教師、高橋先生。当然 高橋先生がリーダーだ。 高橋先生は、何度も入試係をやった事がある 文字通りのベテランで、たいそう頼りになる。 「高杉先生も平山先生も、よろしくね。まだ入試まで期間があるけど、出来る事はドンドンやっちゃおうね!」 本当に頼りになる。高橋先生。 週末は 久しぶりに実家に帰る事にした。 前に、萌子にアニメのイベントに連れていかれて以来だから、何ヶ月ぶりだろうか…。 遠いわけではないけど、就職した息子なんてそんなもんだろう。 最近は 大体一緒に週末を過ごしている凪にLINEする。 【萌子さんに よろしく!】と、さらりと返された。 凪は俺と会えない週末も、寂しくないのか…。 少しガッカリしていると【会えないの淋しいので、帰ったら電話して欲しいです】というLINEが届き 直ぐに【もちろん、電話するよ】と返した。 凪に出会って、付き合うようになって、確実に自分が変わったなと感じる。 もちろん、いい方に。
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