第3章 伸ばした手が 触れ合った時

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先生の実家に着くと、今度はこっちの家族が外で待っていた。 「何だよ、みんな外出て。」 「だって、功輔が彼女連れてくるっていうから」 「あ、あの、こんにちは!一瀬凪と申します!!」 「こんにちは!よく来てくれました!ほら、中に入って、ゆっくりお茶でも!ごめんなさいね~急に!」 「お、お邪魔します!」 緊張で、足がガクガクする。 「母さん!凪のウチからリンゴいただいたよ~」 あ、リンゴの事をすっかり忘れてた! 落ち着け!落ち着け! 案内されたリビングは、明るくてあったかい雰囲気の部屋だった。 先生の部屋に似てる感じ。 「さぁ、さぁ座って!今 お茶入れてくるからね。」 「あらあら、こんにちは!」そう言って入ってきたのは、先生のおばあちゃん。 車の中で聞いた家族構成を思い出す。 ホテルにお勤めのお父さん、専業主婦のお母さん、萌子さん、お母さん方のおばあちゃん。 「改めて…こちらは一瀬凪さん、俺の彼女。」 「本当だったのね~。あの待ち受けを見た時は AIかと思っちゃったわ、お母さん。」 AI…。 「母さん、AI知らないだろ?」 「今はやりの、アレでしょ?知ってるわよ~」 「とにかくAIじゃないから」 「兄さんの元教え子では、あるんだよね?」 「そうそう、そこのところを聞きたかったんだよ。功輔 どうなんだ?」 初めてお父さんが口を開いた。 先生のお父さんは、背が高くて 年取ったら先生もこうなるだろうな~って感じ。 「そうだよ。」 「お前、よく学校クビにならなかったな」 「どういう経緯で 付き合う事になったの?」 「あの…えっと…私が先生の事好きになって、卒業式に告白してオーケーもらったんです!」 何故か「おぉっ」という歓声があがる。 「でも 俺の方が早くて、凪が入学してきた時から、好きだったけどね」 「凪ちゃんのご両親は、なんて?先生と付き合うなんて、心配しているんじゃない?」 先生のお母さんが心配そうに聞いた。 「初めはびっくりしてましたけど、高宮理事長が父の知り合いで、卒業式の日に先生と私の両親を引き合わせてくれたんです。 『高杉先生の人物は、私が保証する』って言って。 そのあと何度か先生が、ウチに来てくれて、私の家族も先生の事分かってくれて 応援してくれてます。」
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