第3章 伸ばした手が 触れ合った時

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高杉家からの帰り道、車の中でも幸せモードは 続いていて 今日が ずっと続けばいいのに…と思った。 「凪…。」 「ん?」 「これからも よろしくね?」 「どしたんですか?改まって。」 「なんだか…そんな気分。今日がずっと続けばいいのに…とか思って。」 先生!! 「今…私もそう思ってた!!」 丁度 赤信号で止まって…先生の手が私の肩を引き寄せた。 ほんの一瞬のキス。 すぐに青に変わっちゃって、ちょっとガッカリ。 「凪、可愛すぎる。事故起こしそう。また信号ひっかからないかな~とか思ってるあたり、俺も余裕なさすぎるな…。」 先生の手が私の手を包み込む。 「先生…今日 楽しかったです。最近 先生お疲れ様モードだったけど、リラックスしてるの見られて安心した。いつか…私の事…お、お嫁さんにしてくれるっぽいのも 嬉しかったです。」 「だって、凪は 俺がシワッシワのおじいさんになっても一緒に居てくれるんでしょ?」 あ…。 先生は悪戯っぽく笑った。 「小さいおばあちゃんになった凪を見るのも楽しみ。きっと 可愛い。」 シワッシワ…覚えてたんだ。 前、泣きながら怒っちゃった時の…。 なんだか…恥ずかしい…。 「どした?」 「シワッシワ…言い過ぎました…今更ですけど、忘れて!」 「忘れないよ!凪の武勇伝。可愛すぎるから、誰にも言わないけどね。」 えーっ!? 先生は、シートベルトを外すと 耳元で囁く 「凪が耳弱いのも 俺だけの秘密。」 耳たぶを軽く啄まれて クラクラした。 そんななのに、私はそんな事で 頭が沸騰しそうなのに、先生は全然余裕で ふわりと笑った。 いつのまにか着いていた ウチの灯りがみえて、慌てて降りる支度をすると、ドアを開けてくれた先生が少しかがんでキスした。 唇が離れる時に、チュッという 小さな音がした。 「もう、これで。止まんなくなっちゃうから。」 コクンと頷く。 寂しい。 「そんな顔しないの。また、電話する」 「はい。」 「…先生!大好き…です。」 思わず言って、急に恥ずかしくなり ペコリと頭を下げて、慌てて玄関をあけた。 「ただいまー!」 呆気にとられた俺の耳に、凪の声が聞こえる。 玄関が閉まるのを見届けて、車に乗り込んだ。 凪…反則。
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