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身を震わせながら伏して懇願する男を、信徒達は神殿の奥深くへと連行した。
静謐な空気に満ちた謁見の大広間。その更に奥の座に、白き癒し手の姿が見える。
その清冽な白さに己の罪を暴かれているような気がして、男は畏れ平伏する。すると、癒し手の傍らに控える年老いた神官が厳かに口を開いた。
「あなたは罪を悔いているのですか?」
「はい」
「ならば、贖罪のために生涯を人々のために尽くせますか?」
「私の全てをこの国に捧げると誓います」
その言葉は男の本心から出たものに違いなかった。その切々たる願いを受けて、神官は首肯した。
「よろしい。それでは、あなたがどれほど改心したか、試させてもらいます」
キン、と金属が擦れる音が男を凍り付かせる。神官は腰にはいた長剣を鞘から抜き放ち、男に歩み寄ろうとしていた。
「何をするのですか!?」
気づけば男は信徒達に四肢を押さえられ、身動きがとれずにいた。助けを請う男の叫びだけが、広間に虚しく響き渡る。
「耐えてみなさい。大丈夫です。全ては癒し手様の御力で治ります」
まず、神官は男の両足の腱を断ち歩けなくした。次に喉を裂いて言葉を封じ、更に両目を突くことで光を奪った。
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