終末の時を待つ僕ら

2/12
前へ
/12ページ
次へ
 近付くと、それが小さな家の中から漏れているのだということが分かる。辺りには他にも建物があるが、明かりが点っているのはその一軒だけだ。  「ただいま」 「おかえり、二人とも」  僕とテオが家に入ると、中から柔らかい声が迎えてくれた。暖炉のある部屋に入ると、温かさにホッと肩の力が抜ける。  「外寒かったでしょ。シチューを作ってあるから、食べて温まって」  部屋の奥にあるキッチンから、ミアがそう声を掛けてくれる。すでにおいしそうな匂いが漂っていた。  防寒着を脱いでから、僕はミアの様子を見にキッチンに向かう。  「何か手伝うことは?」 「そうしたらお茶を入れてくれる? お湯は沸かしてあるわ」  ランプの明かりを頼りに、僕はティーポットにお茶を準備し、マグカップに注ぐ。少し手元が暗くても、問題はない。いつの間にか慣れてしまった。  お茶が入ったところで、ミアがシチューを運んできてくれた。  「ありがとう、シオン。兄さんも来て。昼食にしましょう」  小さなテーブルに三人分の食事を並べて、僕たちは椅子に腰かける。  「いただきます」  手を合わせてからスプーンを持ち、シチューを口に運ぶ。  「うん、おいしい」 「それなら良かった」  ミアは安心したように笑って、自分もシチューを食べ始めた。  「そう言えば、そろそろ水が無くなりそうなの」     
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加