3人が本棚に入れています
本棚に追加
そして、母はそのまま目を覚ますことはなかった。そのまま衰弱していき、三日後には息を引き取ったのだ。
何が起きているのかわからなかった。けれども、母が死んだ翌日、また一人、村人が目覚めなくなった。
人々は夜眠っている間に、もしくは昼間にうとうとと昼寝をしている間に、そのまま目を覚まさなくなってしまう。医者にも原因がわからず、有効な対処法もなかった。
人々は眠ることを恐れ始めた。けれども、眠らなければ人は生きていけない。人々は明日も自分と家族が無事に目覚めるようにと、毎日祈って眠った。
そしてそれは、この村の中だけでは終わらなかった。村を行き来している商人の話では、同時期に各地で同じ症状が人々に現れ始めたのだという。
村人は、これこそ予言にあった、目覚めのない深い眠りなのではないかと噂した。そうしている間にも、奇病はどんどん広がっていった。
そして、人々が病に怯えている間に、変化していることがもう一つあった。あまりにもわずかな変化だったので、人々がそれに気が付くまでには少し時間が掛かった。。
夏に向けて長くなるはずの昼間が、逆に少しずつ短くなってきていた。
そこで、村の人々はようやく、言い伝えは本物だったのだと理解した。
太陽が一時間早く沈むたびに、村人の数も半分に減っていった。
最初のコメントを投稿しよう!