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とたんにわくわくしてきたけど―――でも、おれが今年ほしかったプレゼントはもらえなかったんだ。おれがいい子でいれば来年もらえるのかな。それとも、いくらおねがいしてもサンタクロースはお金をくれないのかな。
「ねえ、剛」
ふりむこうとしたら、ぎゅっと後ろから母さんにだきしめられた。
「母さんね、夜にお仕事するのやめるよ。明日から、剛と優羽が学校に行ってる間にお仕事に行くことにしたんだ」
「え…?」
「これまでさびしい思いさせて、ごめんね」
母さんの声は、少しふるえていた。最初は、なんでいきなりこんなこと言い出すんだろうってフシギだったけど、でも昼に母さんが仕事に行くようになるってことは、
「よ、夜ごはん、いっしょにゆっくり食べれる?」
「うん、作って置いておくだけじゃなくて一緒に食べるよ」
「まいにちおれたちといっしょにふとんでねてくれる!?」
「うん」
ニンテンドースイッチのはこをおいて、母さんに思いっきりだきつく。母さんは泣いていた。でも去年のクリスマスみたいにかなしそうじゃない。
お金はくれなかったけど、きっとサンタクロースが、おれの手紙を読んで母さんにおねがいを伝えてくれたからこうなったんだよね? なら、おれいを言わなきゃ。お母さんが夜にいてくれるようになったよ、ありがとうって。
「あ、ふたりだけずるい! ゆうもなかまにいれて!」
よこから体当たりしてきたゆうを、母さんがおれごとふんわりつつむ。ゆうは、ねつがあるんじゃないかってくらい体があつかった。うれしすぎて目をまわさないといいけど。
「ねえ、ママ? サンタさんすごいね! ゆう、なんにもおねがいしなかったのに…どうしてゆうがほしいものがわかったのかなあ」
「ふふ、サンタさんは何でもお見通しなんだよ。優羽がほしいものも、1年間いい子にしてたことも…それからお兄ちゃん想いだってことも、ちゃーんとわかってるんだ」
「えへへ、そっか~…あ、おにいちゃん! おにいちゃんもプレゼントもらえた!?」
「うん、ありがとな」
ねぐせがついてるゆうのあたまをぽんぽんしてやる。こんなふうに、サイコーのクリスマスになったのは、ゆうのおかげでもあるんだ。きのうの夜、ゆうをおいてカブキチョーに行ってたら、きっとおれもゆうもプレゼントをもらえなかった。そんな気がするから。
「兄ちゃん…ゆうのおかげで、プレゼント2こもらえたよ」
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