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サンタクロースが帰ってきた朝
「おはよーう!!」
シャッ、と音がして、目がチカチカする。ねむい。ねむいのにまぶしくていやだ。あかるいほうにせなかを向けて、ふとんをあたまからかぶる。めざまし時計がなるまではねていたい。
「剛、優羽! ほら、起きろ~!」
ばさっとふとんを取り上げられる。さむくて、近くにあったあったかい何かにしがみついたら、それは「くるしいよ~」とばたばたうごいた。ゆうにだきついてたみたいだ。
はなしてあげたら、ゆうは「あっ、ママだ!」と言って立ち上がった。けしょうをおとして、いつものかおにもどってる母さんが、にこにこしながらゆうに向かってうでをひろげる。
おかしいな、なんで朝になってるんだろう。さっきまでおれは、やぶいた手紙をぐしゃぐしゃににぎりしめて、サンタクロースにゆうへのプレゼントをおねがいしてたはずなのに。手の中には何もない。まくらの下にもだ。
母さんやゆうには見られたくないから、学校のゴミばこにすてようと思ったのに。ねてる間にどこにやっちゃったんだろう。きょろきょろしてたら、母さんが「おはよう」って話しかけてきた。
「お母さんね、ふたりに聞きたいことがあるんだけど…あれ、何だろう?」
部屋のすみっこ、カーテンのうらにかくされている何かを、母さんがさした。赤いはこがちらっと見えているみたい。あんなもの、ねる前にあったっけ?
「お母さんは、サンタさんからのプレゼントだと思うんだけど」
「ええーっ!!」
そう聞いたゆうがカーテンをばっとよこへどける。そこには大きな赤いはこと小さいピンクのはこの2つがあった。しんぞうのドキドキが急に早くなる。サンタクロースが、ほんとうに来てくれた…?
いや、まだゆだんできない。ゆめかもしれないし、ゆめじゃなかったとしても、中には何も入っていないかも。
ああそっか、きっとどっちもゆうへのプレゼントなんだ! サンタクロースはおれのねがいを聞いてくれたにちがいない! プリキュアのヘンシングッズと、シールてちょうか、ぬりえ本が入ってるんだ。
「はい、おにいちゃん! プレゼント!」
ゆうがはこをいっぺんに2つかかえてもどってきて、それをふとんにどさっと下ろした。まるで、ほしかったプレゼントをもらった後みたいに、にこにこ、ほっぺを赤くしている。どっちもおれへのプレゼントだって思ってるんだ。それでこんなにうれしそうにしてくれるなんて。
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