サンタクロースが帰ってきた朝

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 ―――カッコわるいからゼッタイ言わないけど、ほんとうはおれだってプレゼントがほしくてしょうがないんだ。でも、いいや。ゆうが何ももらえないのに、おれにだけ2つもプレゼントがきたら、それこそわるいお兄ちゃんだから。  ゆうにとってのわるいお兄ちゃんになるくらいだったら、サンタクロースにとってのわるい子になるほうがいい。 「ゆうがあけろよ。きっとどっちもゆうのだから」 「待って2人とも。一緒にお手紙がついてるよ。まずこれを読んでみたら?」  母さんの手が、はこのよこについてた小さな手紙をはがしておれとゆうに1つずつわたす。おれがよんでいいのかわからなかったけど、おもてに「つよしくん」って書いてあったからひらいてみた。 「いつもいい子でおるすばんありがとう。お兄ちゃんとして、ゆうちゃんのこともまもっていて、えらいね。 去年はおねがいされたものとちがうプレゼントをもってきてしまってごめんなさい。1年おそくなってしまったけど、よろこんでもらえたらうれしいな」  サンタクロースより。  さいごまでよんでもしんじられなかった。1年前にすごくほしかったのにもらえなかったプレゼントが入ってる? ほんとうに? おれ、いい子でいられたじしん、ないのに。  ぎゅっと手紙をにぎりしめたら、ゆうが「わーっ!」とさけんだ。小さいピンクのはこの中から、プリキュアがテレビのなかでヘンシンするときに使うタッチフォンを取り出して、ぴょんぴょんはねてる。 「プリキュアのへんしんグッズだ! ゆうがいちばんほしかったやつ!! ねえ、ママみてて! ゆう、へんしんするから!」 「うん、見せて見せて!」 「いくよ~!」  さっそくタッチフォンのでんげんを入れてヘンシンポーズをとったゆうを見て、母さんが「カッコいい!」と笑う。ゆうはすっかりその気になっていて、2つともおれのプレゼントだって言ったことなんてとっくにわすれてそうだ。  でも、ほんとうのほんとうに、はこにはサンタクロースにおねがいしたプレゼントが入ってた。それならこの中にも、おれがほしかったものが入ってるんだ!  テープをきれいにはがしてなんかいられなくて、外がわの赤い紙をびりびりにやぶいた。出てきたのは、やっぱりニンテンドースイッチ! しかも新作のゲームソフトつきだ! みんながやってるのに、おれだけもってなくて、ずっと話がわからなかったやつ。今からでもおいつけるかな。
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