0人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ
二人の足を襷で結び、一歩を踏み出すために足をあげ着地。
と、同時に俺がこけた。
何故だ!
襷はバッチリ結んだはず。
「松石君!!俺の靴紐踏んでる!!」
「あっわりぃ。」
靴紐を結び直す。
襷も確認する。
これで完璧だ。
「よし、じゃあせーので走りだそうぜ。」
彼がリードし始めた。
「せーの。」
そう言われて、走り出す俺たち。
…ぎこちない。
何もかもがぎこちない。
とりあえず、俺たちの体格に差があることが問題のように感じる。
俺は163センチの発展途上国的な体に対し、松石は180センチ近いの先進国のような体。
いったいどこを掴んだらいいんだ。
というか、汗でびしゃびしゃで掴むのになんか抵抗がある!
「斎藤はしがみついちゃえよ。」
「えぇっ、なんだその台詞!!」
「だって走りにくい!!」
「君がでかいんだろ!アメリカか!超大国みたいな体しやがって!」
「アメリカて。もぉー斎藤はすぐ怒る。カルシウム足りてますか?牛乳飲めよ。いろいろ役に立つぜぇ。」
「牛乳飲むと腹がいたくなるんだよ。」
「だからそのサイズか…。」
言い合ってると、ものすごい早さで俺たちを横切る風を感じた。
2年2組のペアの内田と大川だ。
内田はクラス選抜の二人三脚の唯一の女子だ。足の早さは、女子のなかで群を抜いている。うちのクラスの入野と国語の便覧にハムスターの漫画を描いている不思議な女だ。
「はぇー。」
松石が内田と大川のペアをため息混じりに見つめた。
さすが、松石も野球部部長なだけある。
やはり勝ち負けにと言うものに対しては真摯なのか。
「大川、女子と組んでて、あんなにナチュラルに足をすすめられるなんてすげぇ。」
「お前は、邪念を捨てろ!!」
「おーい大川、内田!!競争しようぜ!」
「人の話も聞け!!」
大川君と内田がさらりと了承してくれたので、競争することになった。
何か、ヒントが得られればと思った。
がしかし、あっという間に勝負はついてしまう。
「もう一回お願いします!!」
「いいよ」
「「もぉーもう一回!!」」
「こっ声が揃ってる。いっいいよ。」
必死な俺たちに少し大川君がひいてる気もした。
しかし、それは関係ない。
何度やっても俺たちは勝てない。
最初のコメントを投稿しよう!