ウサギと亀

3/4

0人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ
二人の足を襷で結び、一歩を踏み出すために足をあげ着地。 と、同時に俺がこけた。 何故だ! 襷はバッチリ結んだはず。 「松石君!!俺の靴紐踏んでる!!」 「あっわりぃ。」 靴紐を結び直す。 襷も確認する。 これで完璧だ。 「よし、じゃあせーので走りだそうぜ。」 彼がリードし始めた。 「せーの。」 そう言われて、走り出す俺たち。 …ぎこちない。 何もかもがぎこちない。 とりあえず、俺たちの体格に差があることが問題のように感じる。 俺は163センチの発展途上国的な体に対し、松石は180センチ近いの先進国のような体。 いったいどこを掴んだらいいんだ。 というか、汗でびしゃびしゃで掴むのになんか抵抗がある! 「斎藤はしがみついちゃえよ。」 「えぇっ、なんだその台詞!!」 「だって走りにくい!!」 「君がでかいんだろ!アメリカか!超大国みたいな体しやがって!」 「アメリカて。もぉー斎藤はすぐ怒る。カルシウム足りてますか?牛乳飲めよ。いろいろ役に立つぜぇ。」 「牛乳飲むと腹がいたくなるんだよ。」 「だからそのサイズか…。」 言い合ってると、ものすごい早さで俺たちを横切る風を感じた。 2年2組のペアの内田と大川だ。 内田はクラス選抜の二人三脚の唯一の女子だ。足の早さは、女子のなかで群を抜いている。うちのクラスの入野と国語の便覧にハムスターの漫画を描いている不思議な女だ。 「はぇー。」 松石が内田と大川のペアをため息混じりに見つめた。 さすが、松石も野球部部長なだけある。 やはり勝ち負けにと言うものに対しては真摯なのか。 「大川、女子と組んでて、あんなにナチュラルに足をすすめられるなんてすげぇ。」 「お前は、邪念を捨てろ!!」 「おーい大川、内田!!競争しようぜ!」 「人の話も聞け!!」 大川君と内田がさらりと了承してくれたので、競争することになった。 何か、ヒントが得られればと思った。 がしかし、あっという間に勝負はついてしまう。 「もう一回お願いします!!」 「いいよ」 「「もぉーもう一回!!」」 「こっ声が揃ってる。いっいいよ。」 必死な俺たちに少し大川君がひいてる気もした。 しかし、それは関係ない。 何度やっても俺たちは勝てない。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加