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襷が食い込むみ、足を進める度に刻まれていく足首の痛み。
内田と大川はどうして、この痛みに耐えられるんだ。
俺たちの違いはなんだ。
服装は同じ。
身長差も同じくらい。
いろいろな持ち方も試した。
肩を組むのは無理なので、腰の辺りから上をつかんでいる。
もぉ是が非でも勝ちたい。
しがみつくのもやってみた。
でも勝てない!!
「負けらんねぇな。」
松石の目がギラリと輝いた。
…ような気がした。
松石とは、なんだか運命共同体のような感じがしてきていた。
同じように体力を使い、同じように傷を負う俺たち。
昔話のウサギと亀の亀は諦めなかった。諦めなかったから、ウザキに勝てたんだ。
俺たちは今どん亀だ。
しかし、本番までに必ずウサギに勝つんだ。
すると、息を軽く弾ませた内田が一人近づいてきた。
「斎藤君、松石君。足大丈夫?」
内田が俺たちの赤くなった足首を見る。
「そんなに足がボロボロならストッキング使えばいいよ。
ストッキングなら延びるし、足が痛くないよ。それに反則でもないし♪演劇部のいらなくなった備品でもらえるよ。」
「内田、そんな情報を敵である俺たちに…」
松石が、どっかから持ってきたような台詞を吐いた。
内田がにこりと笑う。
「うん、てかそろそろ、練習付き合うのやめたいかなぁ…。大川君が回をおうごとになんか運命共同体みたいな台詞を言い出してね。そろそろ潮時な気がする♪」
この競技危ない!!
俺もそうだったが、普段では味わえない連帯感と結束が、この二人三脚にはつまっている。
「おっおう、悪かったな。」
「練習、付き合ってくれてありがとう」
俺たちは内田に礼を言い、足首を縛り上げていた襷をほどいた。
内田が去り際に言葉を残していった。
「てかさ、二人とも、仲良くなるのめっちゃ早くていいね。」
亀達はうさぎに誉められた。
何故か、少し照れた。
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